「手に取る宇宙」は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が実施した文化・人文社会科学利用パイロットミッションによって採択された研究であり、アートプロジェクトです。
彫刻家の松井紫朗氏が代表提案者となって進められたこのプロジェクトは、2010年から2013年にかけて国際宇宙ステーション(ISS)における「きぼう」の日本実験棟で行われました。
ガラスシリンダーに宇宙の空気/ 存在のかけらを詰め込み、地上へと持ち帰るというこのミッションは、1度の失敗を経て、2度目の試みで成功。宇宙飛行士やたくさんの人々の協力を得て、無事、ガラスシリンダーは地球へと戻ってきました。
本事業は、地上に戻ってきたガラスシリンダーをめぐる松井紫朗氏のレクチャーとワークショップの2部構成で開催します。
レクチャーでは、このプロジェクトのアイディアがどのように生まれたのか、その背景や思い、またISSでのさまざまなエピソードをお聞きします。ワークショップでは、松井氏が設計した宇宙を体感できるドーム内で、宇宙から持ち帰ってきたガラスシリンダーをひとりひとりが持ち、今宇宙で活動している人々や、宇宙に浮かぶかけがえのない地球に思いをはせ、その思いを書きとめます。みなさんが書いたメッセージは、アーカイブとして蓄積され、未来の人類に向けたメッセージとして伝えられていきます。これら一連の体験、アーカイブ化が「手に取る宇宙」の地上でのミッションです。
これらの体験は、sense of wonder-ふしぎなもの、神秘的なものを見たときに、喜んだり、感嘆したり、もっと学びたいと感じるこころ-が育まれることを願って開催するものです。
|松井 紫朗 MATSUI Shiro
1960年奈良県天理市生まれ。
1983年の初個展以来、多様な素材、ユーモアと理知を備えた独自の立体造形で、兵庫県立近代美術館の「ART NOW 85」展に選出されるなど、関西ニューウェイヴを担う若手のひとりとして注目を集める。1991年よりシリコンラバーによる作品の制作を開始。1997年テント用の素材を使った大作《The Way to the Artwork is Through the Stomach》を発表後、スパンデックスやリップストップと呼ばれるナイロン素材のバルーンを使ったサイトスペシフィックな作品を次々と展開。自然科学の原理を応用した作品等で、人間の知覚や空間認識に揺さぶりをかける。JAXA(宇宙航空研究開発機構)との共同実験では宇宙での庭作りや容器に詰めた宇宙空間の持ち帰りを試みる。京都市立芸術大学教授。
www.shiromatsui.com/
|これまでの開催地
帯広六花亭ごろすけ保育園/ 札幌宮の森美術館/ 旭川市科学館サイバル プラネタリウム/ 京都大学総合博物館/文化パルク城陽プラネタリウム(京都府城陽市)/ 東大寺大仏殿中門前(奈良)/ 京都大学花山天文台
2015年3月14日[土]