モエレ沼公園では、北海道を拠点に活躍するアーティスト川上りえをゲストに迎え、当園の所蔵する照明彫刻《AKARI》とのコラボレーションによるインスタレーションの作品展示を行います。
川上りえは、惑星のはじまりや近未来を想像させるイメージを創造の原点に、鉄を中心とした無機的な物質を素材として様々な作品を手掛けています。川上が今回出品する作品《Zero Gravity》は、空中に描かれた線のように、物質と非物質のはざまを揺らめく、軽やかで重さのない彫刻作品です。それは、イサム・ノグチのマスターピース《AKARI》と共通して、「彫刻」という言葉が持つ硬さや重さのイメージから遠く離れた詩的なすがたを持っています。
本展では、時を隔てて協働するふたりの作家の、彫刻をめぐる各々の試みが並行する作品世界として提示されます。柔らかで繊細な光と構造体から生みだされる彫刻空間をどうぞお楽しみください。
|ゲストアーティストプロフィール
川上りえ Rie KAWAKAMI
北海道石狩市在住。1989年東京藝術大学大学院修了。近年は現象を手がかりとして、そこから受け止められる様々な感覚に焦点を当てながら、物事の本質への問いかけを試みている。彫刻、インスタレーション、インタラクティブ・ワークなどの作品表現を通して、札幌を中心に、国内外で活動中。参加した主な展覧会に「Landscape Will 2019」(札幌文化芸術交流センターSCARTS/札幌市、2019年)、「Daegu Contemporary Art Festival in Gangjeong」(大邱/大韓民国、2016年)、「Domani 明日展」 (国立新美術館/東京、2013年) などがある。2006年文化庁芸術家海外研修制度助成によりNYに滞在。2007年ボーダー・アート・レジデンシープログラム参加(NM.U.S.A)。2012年札幌文化奨励賞、2021年北海道文化奨励賞受賞。
https://erikartgallery.wixsite.com/riekawa
|これまでの作品
《Landscape Will 2019》2019 撮影:前澤良彰
《Undulating Ground(うねる大地)》2018 撮影:伊藤留美子
|AKARIとイサム・ノグチ
《AKARI(あかり)》はモエレ沼公園の基本設計を担った彫刻家イサム・ノグチ(1904‐1988)がデザインした照明彫刻です。1951年に岐阜の伝統産業である提灯と出あって生まれた《AKARI》は、その温かな光とモダンなデザインで、現在も多くの人々に愛されています。創作の情熱の根底には「人の役に立つこと」という思いがあると語っていたノグチは、この《AKARI》について生涯でいちばん自信を持って誇れる作品であると言い、生涯を通して200種類以上のデザインを生み出しました。 和紙と竹で出来た軽くて光を放つ彫刻《AKARI》は彼の作品の中でもっとも小さな彫刻であり、最晩年に手掛けた最も大きな彫刻であるモエレ沼公園と同様に、ノグチの理念を体現する重要な作品です。
「イサム・ノグチ あかり展」会場風景 モエレ沼公園 2020年
|関連プログラム
本展では札幌国際芸術祭 (SIAF)と連携し、鑑賞プログラム「SIAFふむふむシリーズ」を展開します。
詳細はこちら:https://siaf.jp/siaf_fumufumu/
2022年1月8日[土曜日]-3月6日[日曜日]