モエレ沼公園では、ガラスのピラミッド開館20周年を記念して、札幌・ベルリンを拠点として活躍するアーティスト鈴木悠哉の個展を開催します。
鈴木は、文化を超えた普遍的な形状やイメージ、潜在的な世界の記号体系を求めて、「アーキグラフ(archegraph)」*を制作しています。路上に無造作に置かれたゴミ、破られたポスターや落書きのある壁、建築物の細部など、都市景観の中で無意識のうちに認識され続けている「かたち」―――。こうした公共空間に存在する機能しない要素は、膨大なドローイングを通して抽象化され、柔らかな色とかたちを持った立体作品や、映像、ライトボックスなどへと変換されたのち、新たなコンポジションとして提示されます。
本展では、モエレ沼公園のデザインを手がけた彫刻家イサム・ノグチの残した作品に触発された新作を発表します。世界中のさまざまな土地を旅し、古代遺跡や造形物など伝統的なものからその先の未来へとつがなる価値観を見出し、自身の作品へと反映させてきたノグチ。彼の作品からも見出される「かたち」の普遍性を自身の作品の発想の手がかりとして、視点を未来から過去へ、過去から未来へと移し、時間のはざまを探索して生み出された作品は、古代の出土品のようでもあり、われわれがやがて手にするであろう新しい未来の装置のようでもあります。時代や文化を超えて通底する「かたち」を追求する、未来へのひろがりを予感させる鈴木の新しいインスタレーション作品を、ぜひご覧ください。
*鈴木による造語
|作家プロフィール
鈴木悠哉 Yuya Suzuki
1983年福島市生まれ。日本大学芸術学部美術学科版画専攻卒業。2020年から2021年に文化庁新進芸術家海外研修制度によってクンストラーハウス・ベタニエン(ベルリン)に滞在。現在はベルリンと札幌を拠点にドイツと日本、および東アジアを中心に活動を行う。都市を集合的無意識の集積と捉え、都市風景の断片から独自に記号的なイメージを抽出し、ドローイング、ペインティング、立体、映像など様々なメディアに転換、インスタレーションという形態を通じて現実世界を独自の視点でシミュレーションする。
https://www.yuyasuzuki.com/
|参考作品
「Post Language Realm/ variation」展 会場風景/ Setareh X、デュッセルドルフ、ドイツ、2023年
Photo: Johannes Bendzulla
《archegraph study_Tainan》2019年、21cm×30cm、色鉛筆、紙
Photo : Naoki Wagatsuma
関連プログラム
|ギャラリートーク
日時:2023年8月26日[土曜日]16時-17時
出演:鈴木悠哉(本展出品作家)、拝戸雅彦(愛知県美術館館長)
参加費:無料
会場:展覧会会場内
※当日会場へお集まりください
|チラシ
チラシ表面 | チラシ裏面 |
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2023年7月22日[土曜日]-8月27日[日曜日]